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貞観政要 - 2

「(前略)天下の安泰を願うなら、まず、おのれの姿勢を正す必要がある。いまだかつて、体はまっすぐ立っているのに影が曲がって映り、君主が立派な政治をとっているのに人民がでたらめであったという話は聞かない。わたしはいつもこう考えている。身の破滅を招くのは、ほかでもない、その者自身の欲望が原因なのだ、と。(後略)」(呉 兢 (著)・守屋 洋 (翻訳). 貞観政要. 徳間書店, 1996, p.31)。

 

欲望が原因なのだ。つまり、足るを知るが良いとの教えはあらゆる所で出てきますよね。

 

その理由の本質はまさにこの事で、道徳的な勧めをしている訳では無く、欲望はその引用通り身の破滅を招くからなのです。

 

この欲望は、ベクトルが自分自身にのみ向いているものを指しています。

 

何故身の破滅を招くかといえば、欲望は"必ず"留まることを知らないからです。

 

何故留まる事が出来ないか?欲望の正体は悪因(怨霊)に因があるからです。

 

ひとたび怨霊が生み出す心に主導権を渡せば、雪だるま方式に欲望は膨れ上がり、行き着く先は破滅の他ありません。

 

あわせて、この状況では怨霊が主導権を握っていますので、ある一定ラインを越えれば人の助言も耳に入りません。

 

これが無明の状態であり、正直なところ救いようがありません。

 

まとめると、奢侈(必要以上の贅沢)に走らず諌言(助言)をよく受け入れるべしということですが、これが良く出来ているうちは怨霊に呑まれていない状況ですので、運気も良い方向にあり、いずれにせよ失敗の無い環境でしょう。

 

霊界を受け入れる、受け入れないに関わらず、名君は欲望が起こすその結果をよく理解しておられました。